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Figure A.8 Assessment
図A.8 評価は何から構成されるか

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各ユニットでの演習どころか教員の計画においても、評価は常に最後に行われていたことに驚きました(略)評価はほとんど後付けでした(略)教員は(略)評価とは競わせるものであるという目的に捕らえられていました(略)彼らは整合性に折り合いをつけようとしている時に経験する困難でよく混乱し欲求不満を抱えていました。

Earle, 2003

A.8.1 デジタル時代の学習者評価

評価は大きなトピックであるため、このセクションの目的は次のとおりであることを明確にしておかなければいけません。

  1. 効果的かつ包括的な学習環境を構成する要素の1つを検討すること。
  2. デジタル時代においてどの程度、評価が変化しているか、または変化すべきかを軽く検討すること。

評価については本書の至る所で議論されていますが、特に以下で言及されています。

実際、評価だけで1つのセクションが必要です。どのように評価されるかということ以外に学習者の行動を左右するものは存在しないでしょう。全ての学生が学習に尽力するわけではありませんが、デジタル時代に学習者の時間を奪い合うものに対する外圧を考えると、ほとんどの「成功した」学習者は、検討対象と評価要件を満たすことができる効果的かつ最短時間で済む学習方法に焦点を当てています。したがって、評価方法に関する決定は通常、効果的な学習環境を構築するための基本となります。

A.8.2 評価の目的

学習者を評価する理由はたくさんあります。単一の評価手段が全ての評価ニーズを満たすことはあり得ないので、評価の目的について明確にすることは重要です。以下はその理由です。おそらく他にも考えることができるでしょう。

  • 学生の学習を向上させるため。拡張させるため。
  • 要求される学習目標または成果に関して、学生の知識と能力を評価するため。
  • 教員に教育の有効性を提供し、どのように改善すればよいかについてフィードバックを行うため。
  • 学生が知っていることとできることについて、雇用主に情報を提供するため。
  • 今後の学業、仕事、職業上の昇進のために学生を選別するため。
  • 制度的な説明責任と財務上の目的のため。

私はこれらについて、効果的な学習環境を作るために意図的に順序付けをしています。

A.8.3 評価方法

評価の形式は目的と同様、基本的には教員や評価者が持つ認識の影響を受けます。彼らが信じるものは知識ですので、どうにかして学生の知識を証明しなければなりません。評価の形式は、デジタル時代に学生が必要とする知識やスキルの影響も受けるはずです。つまり、コンテンツの知識と同じくらいスキルの評価に焦点を合わせることになります。したがって、継続的または形成的な評価が、総括的な、すなわちコース終了時の評価と同じくらい重要になるでしょう。

評価方法の選択肢は多岐にわたります。デジタル時代と関連する形で、テクノロジーが学習者の評価方法をどのように変えるかを説明するために、いくつか選んでみました。

A.8.3.1 評価しない

考慮すべき問題の1つは、そもそも学習評価が必要かどうかということです。実践共同体のように、学習が非公式であり、学習者自身が何を学びたいのか、そして彼らが学んだことに満足しているのかどうかを決めるような状況があるかもしれません。あるいは学習者が公式の評価や評定を望まない、必要としないのかもしれませんが、学習に対するフィードバックが欲しいという場面もあるかもしれません。「私は本当にこれを理解しているのか」「他の学習者と比べてどのくらいできているのか」といった点です。

しかしこのような状況においても、専門家や熟練した参加者からの非公式な評価がフィードバックとなり、学習者のコンピテンシーの達成状況を理解することで、学習が広がることに役立つ場合もあります。あるいは学習者自身が、理想的には知識のある熟練した教員による指導と観察を受けながら自己評価や相互評価に参加することで、学習を広げることができます。

A.8.3.2 コンピュータ利用型の多肢選択式テスト

この方法は、数学、科学、工学などにおける事実、考え方、原則、法則、定量的手順に関する「客観的」な知識のテストに適しており、これらの目的に対しては費用対効果が高くなります。ただしこの形式のテストは、複雑な問題解決、創造性、評価などの高度な知的スキルの評価に対しては限界があるという傾向があるため、デジタル時代に必要なスキルの多くを開発または評価するのにはあまり役に立ちません。

A.8.3.3 エッセイ・短答式回答

この方法は、理解力や批判的思考など、より高度な知的スキルの評価には適していますが、労力が必要で、主観的なものであり、実用的なスキルの評価には適していません。実験として人工知能を利用した自動化エッセイ評価システムが開発されていますが、これまでのところ適切な意味をとらえることに苦労している段階です。機械評価に関するバランスの良い詳細な説明を知りたい場合は、Mayfield:2013 Parachuri:2013を参照して下さい。

A.8.3.4 プロジェクト作業

プロジェクト作業は、コンテンツの理解、知識管理、問題解決、協働学習、評価、創造性、実用的な成果を必要とする確実なスキルの獲得を促進します。有効で実用的なプロジェクト作業を設計するには、教員に高度なスキルと想像力が必要です。

A.8.3.5 eポートフォリオ(学生の作業に関するオンラインでの概要)

eポートフォリオは、振り返り、知識管理、教育実習や看護実践などの学習アクティビティーの記録と評価、プロジェクト作業に対して貢献した内容の記録による自己評価を可能にします。(一例としてロイヤル・ロード大学の eポートフォリオの利用を参照)通常は学習者によって自己管理するものですが、公式な評価や就職面接の際に利用することもできます。

A.8.3.6 シミュレーション、教育用ゲーム(通常はオンライン)および仮想世界

これらは、次のようなスキルの実践を促進します。

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Figure A.5.3.5 Virtual world border crossing, Loyalist College, Ontario
図A.8.3.6 仮想世界の国境通過, Loyalist College, Ontario

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これらの方法は現在、開発に費用がかかりますが、非常に高価な機器の利用の代替手段や、訓練のために業務を実際に行うことができない場合、オープン教育リソースとして利用可能な場合には、複数回利用すれば費用対効果が高くなります。

これらの評価方法のいくつかは、学習者の能力と知識を発達させ、向上させるのを助けるという点においては形成的であり、コースや専攻プログラムの終わりに知識とスキルのレベルを評価する点においては総括的です。デジタル時代では、評価と教育はさらに密接に統合され、隣接するようになる傾向があります。

A.8.4 結論

評価方法以上に学生の学習を促進しそうなものはありません。また、評価方法は急速に変化しており、変化し続ける可能性があります。スキル獲得についての評価は継続的かつ総括的に行う必要があります。近年、学生に対する評価の質と範囲を向上させることができるデジタル基盤型のツールが増えています。ですから評価方法の選択や他の要素との関連は、効果的な学習環境に欠かせない要素です。

アクティビティーA. 8 デジタル時代にはどのような評価が有効でしょうか

  1. 私が含めておくべきデジタル時代に関連する他の評価方法はありますか。
  2. 主にコスト上の理由から、多くの教育では依然としてコンピュータ利用型の多肢選択式テストに大きく依存しています。例外はありますが一般的に言って、これらはデジタル時代に必要とされる高レベルの概念的スキルを評価するものではありません。このことに同意できますか。
  3. 特に教員の時間という点で経済的な、デジタル時代の評価に特に適している方法は他にありますか。例えば、エッセイ採点の自動化は実行可能な代替手段だと思いますか。
  4. 終了時よりもむしろコース計画の開始時に、評価について考えることは役に立つでしょうか。これは可能ですか。
  5. シナリオD「歴史的思考の育成」では、教員はデジタル時代に必要なスキルを、効果的な方法で発達させるために評価を利用しましたか。もしそうなら、どのように評価しましたか。もしそうでなければ、なぜ評価を利用しなかったのですか。

参考文献

Earle, L. (2003) Assessment as Learning Thousand Oaks CA: Corwin Press

Mayfield, E. (2013) Six ways the edX Announcement Gets Automated Essay Grading Wrong, e-Literate, April 8

Parachuri, V. (2013) On the automated scoring of essays and the lessons learned along the way, vicparachuri.com,  July 31

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デジタル時代の教育 by Anthony William (Tony) Bates is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial 4.0 International License, except where otherwise noted.

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