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どのような学生がいるかの分析は、コースまたは専攻プログラムをキャンパス中心にするか完全にオンラインにするかを決定する手助けになり得ます。しかしオンラインで何をし、キャンパスで何をするかについて決定するには、どのような学生がいるかという情報だけでは不十分です。なぜならキャンパス中心のコースや専攻プログラムの大部分でオンラインの要素がますます強くなってきているからです。

9.4.1 提案

英国のオープン大学が1970年代に科学の分野での遠隔教育コースと専攻プログラムを設計するために最初に利用した手法を紹介しましょう。調査すべき課題は、印刷物、テレビ視聴、家庭用実験キット、そして最後に伝統的な大学での1週間のサマースクール合宿のどれが最善であるかの決定でした。その後、カナダのアサバスカ大学のDietmar Kennepohl が、科学をオンラインで教えることに関する優れた本を書きました。(Kennepohl, 2010) また、Colorado Community College System は最近、遠隔実習ラボと家庭用実験キットを組み合わせた遠隔実習ラボをオンラインの科学入門コースの指導で利用しています。(Tony Bates, 2018; Schmidt and Shea, 2015)これらでは全て、配信方法について決定する実用的な方法に言及しています。

この決定における最も実用的な方法は、広い視点から取り組みたいと考えている、その分野の専門家の知識と経験を信頼することです。特にインストラクショナル・デザイナーやメディア・プロデューサーと対等な立場で仕事する意思のある人が良いでしょう。では、ここで純粋に教育的な理由から、オンラインをいつ利用するか、いつ利用しないかのプロセスを、ブレンド型学習で行われるコースをゼロから設計しようとしているという想定で考えてみましょう。

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Figure 9.4.1 Can the study of haematology be done online? Image: CC Wikimedia Commons: National Cancer Institute, USA
図9.4.1: 血液学をオンラインで学習することはできるのか。
画像: CC Wikimedia Commons: National Cancer Institute, USA

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私は無作為に血液学(血液の研究)を対象科目として選びました。私は血液学の専門家ではありません。しかし、この分野の専門家と一緒に仕事をしていたら、以下のことを提案するでしょう。

段階1: 主な教授法を決定する

これについては、第2章第3章第4章である程度詳しく説明されていますが、考慮すべき決定の種類は次のとおりです。

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Table 10.6.2 Which teaching approach?
表9.4.2 どのような教授法を選びますか
(表9.4.2日本語訳)
教授法
伝統的  デジタル時代
行動主義的 ←→ 構成主義的
内容伝達 ←→ 知識管理
コンテンツ ←→スキル
個別 ←→協同
? ←→ ?

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これは、ある程度詳細に利用すべき教授法を特定するための一般的な計画や教育手法になるでしょう。血液学の例では、学生が科目に対しての重要性を理解することができるように、教員はより構成主義的なアプローチを取りたいと考えています。特に教員は、血液の取り扱いと保管の安全性、血液汚染の要因、血液サンプルに由来する病気の発症の分析・解釈に関する学生のスキル向上など、特定の項目とコースを具体的に関連付けたいと考えています。

段階2. 主に扱うべき内容を決定する

授業で扱う内容には、事実、データ、仮説、考え方、議論、証拠、および物事の説明(例えば、機器の部品名や関連事項)が含まれます。血液学のコースでは学生たちは何を知る必要があるでしょうか。学ぶべきは以下の事柄になるでしょう。血液の化学組成、どのように機能するか、体内をどのように循環するか、細胞生物学と関連する事柄の説明、血液の完全性や機能性を弱める可能性のある外的要因などの理解、血液を分析する機器の仕組み、血液凝固に関する原理・理論・仮説、血液検査と病気との関係などです。

特に、このコースの内容を提示する際の要件は何でしょうか。動的な活動を説明する必要があり、重要な概念をカラーで表現することはほぼ確実に必要です。多くの場合、血液サンプルの観察には、顕微鏡の利用が不可欠になります。

文字、図表、音声、動画、シミュレーションなど、科目内容を提示する方法はたくさんあります。例えば、図表、短い動画、顕微鏡写真は、様々な条件下での血球の例を示すことができます。また、Web 上には無料の教育目的で利用できるようものがだんだん増えています。(例えば、米国血液学会の動画ライブラリを参照。)このような素材をゼロから制作するには経費が掛かりますが、高品質で低コストのデジタル記録機器を使うことで、ますます容易になりつつあります。慎重に録画された実験の際の動画を利用することは、大勢の学生が不便な実験機器の周りに集まるよりも、見やすい画像を提供してくれるでしょう。

段階3. この科目で身につけるべき主なスキルを決定する

スキルとは、学んだコンテンツがどのように応用され実践されるかを表すものです。これには、血糖値やインスリン値などの血液成分の分析、機器の利用(機器を安全かつ効果的に利用する能力を望ましい学習成果とする場合)、診断、理論や証拠に基づき原因と影響に関する仮説を立てた結果の解釈、問題解決、およびレポート作成などを含むことでしょう。

オンラインでのスキル教育は、特に機器の操作や機器の動作方法に対する「感覚」、または実際に手で触れる感覚が必要な場合、より困難になる可能性があります。(味覚や嗅覚が必要なスキルについても同じことが言えます。)血液学の例では、教える必要があるスキルの中には、分析対象、すなわちインスリンやグルコースなどの血液の特定の成分を分析し、結果を解釈し、そして治療法を提案する能力も含まれるかもしれません。ここでの目的は、これらのスキルをオンラインで効果的に教えることができる方法があるかどうかを確認することです。このことは、必要なスキルを決定し、オンラインでそのようなスキル(練習の機会を含む)を開発する方法、そしてオンラインでそのようなスキルを評価する方法を考え出すことも含みます。

段階2と3を当該コースの主要な学習目標と呼ぶことにしましょう。

段階4: それぞれの学習目標に対する最適な手法の分析

ここで表9.4.3のような表を作りましょう。

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Figure 10.5.4 Allocating mode of delivery
表9.4.3 配信方法の割り振り

(表9.4.3の日本語訳 (左見出しのみ))
コンテンツ
理論と用語を学ぶ
顕微鏡下での相互作用の動画
血液の分子構造の図
スキル
仮想的な装置を使って実験の組み立てを設計する
顕微鏡下で分析対象を観察する
グルコースを組み込む

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この例では、教員は学生との時間をなるべく長くとり、実験や理論・実践面の質問に答えることができるように、可能な限りオンラインで教育をすることに注力しました。その教員は血液と他の要因との間で発生する重要な相互作用について、使えそうな優れたオンライン動画を見つけることができました。さらにグラフィック・デザイナーの助けを借りて自身で画像を作っただけでなく、血液の分子構造を示す適切な図と簡単な動画をいくつか見つけることができました。確かに、教員自身では新たな教材やコンテンツをほとんど作らなくてよいことに気づいたのです。

また、このクラスを担当したインストラクショナル・デザイナーは、仮想的な装置の組み合わせ、データ入力、実験の実行など、血液検査のそれぞれの段階に合わせて、学生が独自の実験装置を設計できるようにするソフトウェアを見つけました。しかし、グルコースの組み込みや、血液の化学成分を分析するための「本物の」顕微鏡の利用など、実験室で実際に行う必要のあるスキルがまだいくつか残っていました。ここでもオンライン資料を使うことで、教員は学生とより多くの時間を実験にかけることができました。

この例から分かるように、ほとんどのコンテンツは、実験を設計するための非常に重要なスキルとともにオンラインで配信できますが、それでも直接の手ほどきが必要な実習課題もあります。ですから、コースの大部分をオンラインで配信していても、実習のために実験室で夜間や週末に集合教育が1回以上必要になるかもしれません。実習が多い場合は、コースの半分が実験で、残り半分がオンライン学習になるかもしれません。

アニメーションやシミュレーション、実際の機器を遠隔操作することができるオンライン・リモート・ラボの進化に伴い、従来のラボ作業でもオンラインで行うことがますます可能になりつつあります。同時に、必要なものを正確にオンラインで見つけることがいつでも可能というわけではありませんが、時の流れとともに見つけやすさが向上していくことは確実です。人文科学、社会科学、ビジネスなどの他の分野では、オンラインへの移行ははるかに容易です。

これは、ブレンド型学習コースでの対面型教育とオンライン学習のバランスを判断するためのおおまかな方法ですが、少なくとも出発点にはなるでしょう。こうした判断は、教員の研究領域に関する知識やオンラインで学習成果を達成する方法を創造的に考える能力に基づいて、比較的直観的に行う必要があることが分かります。しかし、ほとんどの分野で、質の高い学習成果を達成するのに必要なスキルやコンテンツの大部分を、オンラインで教えることができることが分かっています。初めに対面型授業ありきでは、もはやないのです。

したがって、全ての教員はこの質問を自分自身に問いかけないといけません。自らの授業の大部分をオンラインに移行できるのであれば、対面型教育に取り入れる必要があるキャンパスでしかできない利点とは何でしょうか。なぜ学習者は私の目の前にいなければならないのでしょうか。学生がここにいる時、時間を最も有効に使えるようにしているでしょうか。

9.4.2 利用可能な資源(リソース)を分析する

学習者の種類、全体的な教授法、そして教育的根拠に基づいた決定を行うこと以外にもう1つ考慮すべきことがあります。それは、利用可能なリソースを考慮することです。

9.4.2.1 教員の時間

特に重要なリソースは、教員の時間です。教員が利用できる限られた時間をどのように使うのが最善かについては、慎重な検討が必要です。血液検査の手順のいくつかを撮影した動画を特定するのは非常に良いことかもしれませんが、もしもこのような動画がまだ自由に利用できる形で存在していない場合、動画を作成するための時間やプロのスタッフを使って作成するコストを考えると、このコース専用の動画を作成することは正当化できません。

オンライン教育の方法を学ぶ時間は特に重要です。急な学習曲線があり、初めて受講するオンライン・コースは2回目以降のオンライン・コースよりもはるかに長くかかります。教育機関は、オンラインまたはブレンド型学習への移行を考えている教員に、何らかの研修または教育の機会を提供する必要があります。理想的には、教員はオンライン・コース、または再設計されたブレンド型授業の設計と準備を行うために、ある程度の準備時間(最大1学期間1クラスを教えなくてよい)を取るべきです。これはいつでも可能というわけではありませんが、知っておくべきことの1つです。教員の作業負荷はコース設計の成否を決めます。うまく設計されたオンライン・コースでは、教員による作業はむしろ少ない量の準備で済みます

9.4.2.2. 教育テクノロジー補助員

あなたが勤める教育機関が、教育内容・方法等をはじめとする研究や研修を組織的に行う部局や、教育支援のためのインストラクショナル・デザイナー、Webデザイナーを持っているならば、是非とも使いましょう。このような部局の職員は、教育科学とコンピュータ・テクノロジーの両方の資格を持っていることが多いです。彼らはオンライン教育に必要な知識とスキルを持ち合わせています。このことは第12章でも論じます。)

教育機関からの教育テクノロジーの補助があるかどうかという点と、テクノロジーへの熟達度は重要な要素です。あなたはインストラクショナル・デザイナーやメディア・プロデューサーの援助を受けることができますか。そうでなければ、あなたが既にオンライン学習で非常に経験を積んでいない限り、対面型教育の方がずっとうまくいくでしょう。

9.4.2.3 すぐに利用できるテクノロジー

ほとんどの教育機関は現在、Blackboard や Moodle などの学習管理システム、または講義録画システムを持っています。しかし教員はますます、動画やデジタル・グラフィック、アニメーションやシミュレーション、そしてWebサイトを作成できるメディア・プロデューサーに依存する必要が出てくるでしょう。あるいはブログや Wiki ソフトウェアへの依存も同様です。これらのようなテクノロジーに対するサポートがなければ、教員はこれまでの教室での対面型教育に戻る可能性が高まります。

9.4.2.4 ブレンド型学習やオンライン学習の経験がある同僚

学科に専門分野を理解していてオンライン教育をしたことがある経験豊富な同僚がいる場合は本当に役に立ちます。彼らはおそらく画像など、共有しても構わない素材を持っていることでしょう。

9.4.2.5 資金

コース設計に時間をかけるために1学期間授業をしなくていいだけのリソースはありますか。多くの機関では革新的な教育と学習のための開発資金を持っています。例えば新たなオープン教育リソース(OER、セクション10.2を参照)を創出するための外部資金があるかもしれません。これは実用性の向上に加え、さらに多くの教育をオンラインで行うことに繋がるでしょう。

ますます多くの教材が OER として利用可能になるにつれて、教員は主にコンテンツの提示から解放され、オンラインと対面型の両方において、学生たちとの多くの交流に注力できるようになるでしょう。一方、OER がますます利用可能になってきているとは言え、必要な科目の素材はまだ存在していないかもしれませんし、コンテンツそのものにおいて、または制作基準において十分な品質ではないかもしれません。

このようなリソースが利用できる範囲は、あなたがどれくらいオンライン学習に移行できて、品質基準を満たすことができるかについての判断材料となるでしょう。もしここに挙げたリソースのどれも利用できない場合は、オンライン学習への移行を検討すべきではないでしょう。

9.4.3 複数モードの場合

特定のコースや専攻プログラムで市場を分割することはますます難しくなっています。大学の初年度コースを受講する学生の大多数は、高校の新卒学生ですが、そうでない人もいます。高校を卒業してまず就職したり、短大に通って職業訓練を受けたりしたけれど、やっぱり大卒の学位が必要と考えるようになった学生たちです。特に職業人向けの大学院プログラムでは、学生は学士課程を修了したばかりのフルタイムの学生と、既に就職しているが専門的な資格を必要とする学生が混在することがあります。学部課程3年生や4年生には、週に15時間以上働いている人もいれば、ほぼフルタイムの学生もいます。理論的には、対面型、ブレンド型、または完全オンライン学習向けの学生で切り分けることができるかもしれませんが、実際にはほとんどのコースで異なるニーズを持つ学生が混在している可能性があります。

しかし、ますます多くのコースがブレンド型学習に移行していることを考えると、コースを異なる学生層に役立たせるには、どのように設計したら良いかについて考えておく価値があるでしょう。例えば、血液学コースの例では、生物学を専攻するフルタイムの3年生の学部生に提供することも、単独、または他の関連コースと組み合わせたものを病院で勤務する看護師の血液管理スキルの証明のために提供することも可能でしょう。学部で血液学を履修していない医学生にも有益でしょうし、糖尿病のように血中レベルに関連する症状を抱えている患者に対しても有用かもしれません。

オンラインと対面型授業が半分ずつのコースを開発した場合、他の学生層にも転用することが可能かもしれません。例えば、看護師は実験部分だけを勤務先の病院の監督下で行うことや、オンラインの部分だけを患者向けの短い MOOC として提供することなどです。ひょっとすると血液学以外の科目の場合、同じコースを完全オンライン型、ブレンド型、完全対面型の全てで提供することが可能になるでしょう。このように同じ科目を違う学生層に対して活用できます。

9.4.4 配信方法を選ぶ際に考えるべきこと

まとめると、コースをゼロから設計する場合、以下の問題を考える必要があります。

  1. どのような学習者がこのコースを受講する可能性がありますか。彼らのニーズは何ですか。どのような配信方法が学習者には最適でしょうか。特定の配信方法を選択することで、より多くの異なる学習者に対して配信できるでしょうか。
  2. どのようにすれば学習者がこのコースで最も効果的に学習できるかについて、あなたはどのように考えますか。学習者の学びを助けるためにあなたが好む教授法は何ですか。
  3. このコースで網羅する必要がある主な内容(事実、理論、データ、プロセス)は何ですか。コンテンツの理解度の評価はどのように行いますか。
  4. このコースで学習者が身に付ける必要がある主なスキルは何ですか。そのスキルを身につけ、実践するために彼らにできる方法は何ですか。これらのスキルはどのように評価しますか。
  5. このコースでのコンテンツの提示にテクノロジーはどのように役立ちますか。
  6. このコースでのスキルの開発にテクノロジーはどのように役立ちますか。
  7. 教えるべき内容とスキルをリスト・アップするなら、以下のどれで教えるのがよいでしょう。
    • 完全オンライン型
    • 一部オンライン型、一部対面型
    • 対面型でしか教えられない
  8. このコースで利用できるリソースとして以下のうち何がありますか。
    • インストラクショナル・デザイナーやメディア・プロデューサーによる専門的な支援
    • 開発に専念できる時間やメディア制作のための資金源
    • 質の高い OER
  9. あなたが望むように教えるために、どのくらいの教室スペースが必要ですか。既存のスペースを転用できますか。大規模な改装が必要になりますか。
  10. 上記全ての質問に対する答えを踏まえると、どの配信方法が最善でしょうか。

アクティビティー9.4 配信方法の決定

  1. 新しく教えたい科目について上記の質問に答えられますか。それは現存のコースを代替するものですか。それとも共存するものですか。

参考文献

Contact North (2013) The Colorado Community College System Sudbury ON: Contact North

Kennepohl, D. (2010) Accessible Elements: Teaching Science Online and at a Distance Athabasca AB: Athabasca University Press

Schmidt, S. and Shea, P. (2015) NANSLO Web-based Labs: Real Equipment, Real Data, Real People! WCET Frontiers

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