第11章 デジタル時代における質の高い指導を保証する

この章の目的

この章を読み終わり、これまでの章で扱ったことと結びつけることで、以下のことができるようになります。

  • デジタル時代に教えるという観点から教育の質を定義する。
  • 自分に合った教え方や学び方を決める。
  • 担当する授業でどのような配信方法が適切か考える。
  • デジタル時代において効果的に教えるために、なぜチームワークが必要不可欠かを理解する。
  • 既存のリソースを最大限に活用する。
  • 学習をサポートするために正しいテクノロジーとツールを選んで利用する。
  • デジタル時代における適切な学習目標を設定する。
  • 適切なコースの構成や一連の学習活動をデザインする。
  • いつどのように学習者と交流すれば良いかを知る。
  • 自分の指導法を評価し必要な修正を行う。そしてイノベーションを通して指導法を改善する。

 本章で扱う内容

加えて、この章には以下のアクティビティーが含まれています。

  • アクティビティー 11.1 教育・学習における「クオリティー」を定義する
  • アクティビティー 11.3 教え方を再考する
  • アクティビティー 11.6 既存の素材から構築する
  • アクティビティー 11.7 テクノロジーをマスターする
  • アクティビティー 11.8 学習目標を設定する
  • アクティビティー 11.9 コースと専攻プログラムを構成する
  • アクティビティー 11.10 学生と交流する
  • アクティビティー 11.11 コースとプログラムを評価する

重要ポイント

  1. 本書では「クオリティー」を「デジタル時代に学習者に必要となる、知識やスキルを身につける手助けができる指導法」と定義しています。
  2. 国や機関によって行われる形式的な質保証のプロセスはクオリティーの高い教育や学習を必ずしも保証しません。とりわけこのような質保証では、過去の「優れた」実践など、実際に教える前にするべきことに焦点を当てており、学習における情意的、感情的、個人的な側面を無視してしまうことが多いからです。また、デジタル時代における学習者のニーズにも対応していません。
  3. デジタル時代における新しいテクノロジーや学習者のニーズは、伝統的なキャンパスで行う学習(特に知識の伝達に重きを置くようなもの)を考え直すことを要求しています。そのため、教員は自身の教え方を見つめ直し、デジタル時代にはどのように教えたいかを考える必要があります。技術的な専門知識は必要ありません。必要なのは想像力とビジョンです。
  4. 教育理念、学生のニーズ、学問分野における需要、入手可能な素材などをもとに、最適な配信方法を決めることが重要です。
  5. チームで活動するのが最善の方法です。ブレンド型あるいは完全オンライン型の学習を実施するためには、多くの教員が持っていないであろう様々なスキルが必要になります。良いコース・デザインを用いれば、学習者の学習を促進するだけではなく、教職員の負担も減少させることができます。質の高い画像や Web デザイン、そして洗練された動画を用いれば、コースの見栄えが良くなります。専門家による技術的なサポートがあれば、教員は学生が必要とする知識やスキルにだけ集中することができます。
  6. 機関がサポートしている学習テクノロジーやオープン教育リソース、学習テクノロジーに関する専門職員、同僚の経験など、既存のリソースをフルに活用するべきです。
  7. 実際に利用するつもりのテクノロジーのうち、主だったものについては、完璧にマスターしておくべきです。そうすることによって、そのテクノロジーを教育に使うことの長所や短所などについて、深く洞察することができます。
  8. デジタル時代の学習者にとって適切な、学習目標を設定する必要があります。学生が必要とするスキルを学問領域の中に埋め込み、形成的評価を行いましょう。
  9. 一貫性があり、かつ伝えようとすることが明確なコースの構成と学習活動を開発しましょう。その際、学生や教員にとっての負担が大きくなりすぎないように配慮しましょう。
  10. 学生が一部あるいは全てをオンラインで学習している時には、定期的に継続して教員が介在することが必要不可欠です。具体的には教員と学生の間で効果的なやり取りをするようにしましょう。特に、対面あるいはオンラインで、学生間のコミュニケーションを奨励することが大切です。
  11. デジタル時代において必要とされる知識とスキルを身につけさせるためにデザインし直したコースにおける学習目標が、どの程度達成されたかを慎重に評価しましょう。そしてどのようにコースを改善すれば良いかを検討しましょう。

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デジタル時代の教育 by Anthony William (Tony) Bates is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial 4.0 International License, except where otherwise noted.

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