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Figure 11.8 Set appropriate learning goals Image: © www.geograph.ie
図11.8.1 適切な学習目標を設定する
画像: © www.geograph.ie

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11.8.1 デジタル時代における学習目標を設定する

多くの学校制度においては、カリキュラムや学習目標は国や州、地方のカリキュラム委員会や教育省などによってあらかじめ決められています。多くの職業訓練においては産業訓練団体や雇用連合会が、資格認定に必要な学習目標や望ましい成果、能力などを決めています。大学においても、教員(特に契約教員や助手など)は前の担当者や学科によって既に学習目標が決められているコースを「相続」しなければいけない場合があります。

一方、コースや専攻プログラムにおいて、教員が学習目標に関して一定の裁量を持つことができる場合も多々あります。特に社会人を対象としたオンラインの修士課程など、新しいコースや専攻プログラムの場合は、望ましい学習成果や目標について再検討する機会があるでしょう。カリキュラムが育成したいスキルではなく、網羅すべき内容という観点で構成されている場合には、例えば知的スキル開発などを含めて、学習目標の設定を検討する余地もあるでしょう。一方、カリキュラムで育成したいスキルや焦点が共感などの情意的スキルである場合や、作業や操作を行うためのスキルである場合もあります。

11.8.2 デジタル時代における学習目標

セクション1.2では、デジタル時代において学習者が必要とする、以下のようなスキルを挙げました。

  • 現代的なコミュニケーション・スキル
  • 自律的学習
  • 倫理観と責任感
  • チームワークと柔軟性
  • 以下に挙げる思考に関するスキル
    • 批判的思考
    • 問題解決
    • 創造的思考
    • 戦略と計画
  • デジタル・スキル
  • 知識管理

コースや専攻プログラムにおける目標を設定する際には、このような項目についても検討する必要があるでしょう。もちろん特定のコンテンツの理解や、その応用といった伝統的な目標を入れても良いかもしれません。これらの目標や成果はブルームのタキソノミー(分類法)や、その他の方法によっても言い換えることができます。ある特定の学問領域のニーズに応じて、このようなスキルの全てを埋め込んだり組み込んだりしなければいけません。つまり、これらのスキルは汎用的なものではなく、それぞれの学問領域に特有な形のものでなければいけないのです。また、それぞれの特定の学問領域において、これらのスキルを身につけた学生は、デジタル時代に備えることができるのです。

コースにおいてあなたが設定した目標は、私のものとは異なるかもしれませんし、異なるべきだと思います。ですが、ステップ1(どのように教えたいかを決める)で勧めた分析を行い、以下の項目に基づいて学習目標を決めなければいけません。

  • 学生のニーズをどれだけ理解しているか
  • 学問領域におけるニーズ
  • 実社会における需要

私は知的スキルの育成に重点を置いていますが、学習目標と同様、このようなスキルについても学び、練習する時間を取れるように授業を設計する必要があります。特にこのようなスキルは形成的評価のプロセスの一部として評価する必要があります。

つまり、コース設計の観点から言えば、学習における主要なリソースとしてインターネットを活用する、学生自身に情報を発見して評価する責任を持たせる、特定の学問領域における情報の発見、評価、分析、応用に関する基準や指針を教員が提示することなどを含めなければいけません。そしてオンラインでの検索や、オンラインにあるデータ、ニュース、知識の発生に対して、批判的にアプローチしていかなければいけません。つまり、特定の学問領域において、インターネットや現代のメディアを利用することの可能性や限界について、批判的に考えるスキルを身につけなければいけないのです。

11.8.3 外界を取り入れる

現代のメディアにおける大きな特徴は、教育に実社会を取り込むための方法がたくさんあるということでしょう。例えば以下のようなことが考えられます。

  • 学生をオンラインのサイトに誘導し、関連するサイトを探して共有させる。
  • 携帯電話のカメラや、地域の専門家へのインタビューなどで、学生自身がデータを収集できる。コースで網羅されている概念や事柄に関する実社会の例を提供できる。
  • 教員と学生が投稿できるコースの Wiki を作成して、他の教員や学生にも公開してトピックごとに投稿してもらう。
  • 専門職大学・大学院あるいは MOOCs で教えている場合、学生は既にコースに活かすことができるような実社会での経験を持っています。この経験を利用して、学生に学問領域における知識を評価し応用させると良いでしょう。

その他にもインターネットを利用しないと達成できない目標や教室内では達成が難しい目標がたくさんあります。どれがコースに関連していて、どれが重要な学習目標かを決めるのは教員の力量次第です。

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Figure 11.8.3 Using social media during the Arab Spring
図11.8.3 2011年春 エジブト「アラブの春」でのソーシャル・メディア利用

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11.8.4 学習目標:配信方法による違いはあるのか

多くの場合、オンラインのコースにおいても対面授業のものと同じ教育目標を立てることが適切(むしろ必要不可欠)でしょう。キャンパスを持った大学でありながらオンラインでも単位を認定するコースを提供しているような両対応の機関(例えばブリティッシュ・コロンビア大学、ペン州立大学、ネブラスカ大学など)では、特に学部4年目において、対面とオンラインで同じ授業を提供しています。通常、成績証明書には、オンラインで受講したか対面授業で受講したかといった区別は記載されません。なぜなら両者とも同じテストを受けており、テストの内容も普通は同じだからです。

しかし、重要な目標がオンラインの方がより良く達成できるといった理由で、対面授業ではいくつかの目標の達成をあきらめなければいけないといった場合もあり得るでしょう。そして教室で行う授業と同じ目標をオンラインで達成できるとしても、オンラインでの教え方の設計は、対面のものとは異なるものになる傾向にあるということも覚えておかなければいけません。目標は同じでも教え方は変わるのです。この点についてはステップ7とステップ8でさらに詳しく述べます。重要なのは、キャンパスで行う方が簡単なことと、オンラインで行う方が簡単なことがあるということです。そして異なる目標に応じて異なる教え方を設計するということです。ブレンド型のアプローチを採用すれば目標の幅を広げることができますが、学生の負担が大きくなりすぎないように気をつけましょう。

11.8.5 評価が重要

新しい学習目標や成果を導入しておきながら、学生の達成状況を評価しないのでは意味がありません。評価によって学生の行動が決まります。上述したようなスキルが評価されないなら、学生はスキルを身につけるための努力などしないでしょう。オンライン学習において重要なのは、適切な目標を設定することではなく、学生がその目標をどのように達成したかを評価するためのツールと手段を用意しておくことです。そしてさらに重要なのは、新しい学習目標は何か、どのように評価するかを学生に明確に伝えておくことです。このような方法は今まで内容を与えられ、その内容の記憶力だけをテストされてきた学生にとっては驚きかもしれません。

11.8.6 最後に

インターネットやその他のメディアにおいては、媒体を通じて内容を伝えます。知識は中立ではあり得ません。私たちが何をどのように知るかは、その知識を獲得した媒体に影響されます。それぞれの媒体は異なる知識獲得の方法を提供しているのです。私たちは媒体と戦って新しい知識を古い容器に入れてしまうか、それとも知識を媒体に合うように作り直すか、選ぶことができます。私たちの生活においてインターネットは巨大な影響力を持っています。たとえ私たちが何をどのように教えるかといった手法を多少変えなければいけないことになったとしても、インターネットの可能性は教育において最大限に活かすべきでしょう。そうすることによってデジタル時代に学生をより良く備えさせることができるでしょう。

アクティビティー 11.8 学習目標を設定する

  1. 現在教室で教えているコースを1つ取り上げ、その学習目標を書き出してみましょう。デジタル時代に必要とされるスキルを育成するというニーズを考慮に入れた時、コースの学習目標を変えたいですか。学習目標を変える場合には、指導法やテクノロジーの利用法も変えなければいけませんか。
  2. コース設計を最初からやり直すことができるとしたら、学習目標は変わりますか。それとも指導法だけ代わりますか。
  3. セクション1.2で挙げたデジタル時代におけるスキルのいくつかを導入することになった場合、これらのスキルを学生に身につけさせるためにはどのような活動を取り入れるべきでしょうか。また、そのスキルをどのように評価しますか。

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デジタル時代の教育 by Anthony William (Tony) Bates is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial 4.0 International License, except where otherwise noted.

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