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私はこの章が幾分、抽象的で理論的に見えるかもしれないということを認識しています。しかしどんな学問領域であれ、その裏付けとなる基礎を理解することは大切です。これは教育におけるメディアやテクノロジーを理解する際に、特に強く当てはまります。なぜならこの分野は常に変化しているからです。ある年に主流であった教育メディアが、翌年もっと新しいテクノロジーの進化により、すっかり影が薄くなってしまうことはよくある話です。そのため、このように移り変わりの激しい分野では、毎年毎年いかなる変化が起ころうとも、常に変化しないように感じられる概念や原理に目を向けることが必要です。

この章を通じて強調してきた、我々が目指すべき方向をここで要約しておきましょう。

重要ポイント

  1. テクノロジーは様々に利用できる道具にすぎません。何より重要なのは、どのように技術が適用されているのかです。とりわけ教育においては、同じテクノロジーを様々な方法に適用することが可能です。ですから、あるテクノロジーの価値を見極めるためには、現在どのように使われているか、あるいは将来どのように使われうるかについて、特に注意深く観察する必要があります。本質的に言うならば、このことが意味するのは、個々のツールやテクノロジーに目を向けるよりも、より大きな焦点をメディアに対して当てるということ、つまりテクノロジーの利用には全体論的な捉え方が必要だということです。なぜなら今でもテクノロジーはほとんど全てのメディアで欠くことができない必須の要素であるからです。
  2. テクノロジーよりもむしろメディアに注目すると、対面授業もメディアに含めることができるようになります。そして、もっとテクノロジーを生かした教育手法などとも、様々な次元や特徴から比較できるようになります。
  3. 通常は組み合わせて利用されますが、教育メディアとして主に扱われているものは以下の6つです。
    1. 対面授業
    2. 文字
    3. (静止)画像
    4. 音声(スピーチを含む)
    5. 動画
    6. (アニメーション、シミュレーションやバーチャルリアリティなどの)コンピュータの利用
  4. メディアは形式、記号体系、文化的価値の点で区分されます。このような独自性はメディアやテクノロジーのアフォーダンスと呼ばれるようになりつつあります。異なるメディアは学習者を様々な方法で手助けすることができますし、異なる学習成果を達成することができるでしょう。そしてますます個別学習を進めていくこともできます。
  5. どのテクノロジーとどのテクノロジーが似ているか、そして、どのテクノロジーとどのテクノロジーが異なっているかに関しては様々な次元があります。このような次元に注目すると、既存の情勢の中に現れた新しいメディアや新しいテクノロジーの立ち位置を分析するための根拠になるでしょう。また、教育や学習において、その可能性と限界を評価するための根拠にもなるでしょう。
  6. おそらく教育メディアの特性や次元として認識されうるものがあるでしょう。しかし以下の3つの次元や特性は最も重要であると考えます。
    1. 放送かコミュニケーションか
    2. 同期(ライブ)か非同期(記録されたもの)か
    3. 単一のメディアかリッチメディアか
  7. しかし、ある特定のメディアがどのような特徴または次元に適合するかの見極めは、多くの場合、そのメディアがどのようにデザインされているかに依存するでしょう。同時に、通常ある特定のテクノロジーを、そのメディアの持つ教育的アフォーダンスという観点から利用する際には、どの程度までいずれかの次元に沿って押し込むことができるかについての限界があります。それぞれの次元には一つの「自然」な位置というものがあるからです。
  8. ですから、メディアの持つ特性や次元は、これまで無理だと考えられていたことであっても、新たな教育メディアやアプリケーションでなら実現できるかもしれないということを認識した上で、到達目標や要求される成果を考慮して評価しなければなりません。
  9. 時代の変化とともに、メディアは一層、コミュニケーション的、非同期的、そして「リッチ」になっていくという傾向がありました。このように、教員や学習者が利用するツールも、ますます強力になってきています。
  10. インターネットはとても強力なメディアです。なぜなら、ツールとメディアの組み合わせにより、教育メディアの全ての特徴と次元を網羅できるからです。

アクティビティー6.7 あなたが現在使っているテクノロジーを分析してみましょう

  1. いまあなたが教えているコースの中から一つを選んでください。どのようにあなたの教え方がよりコミュニケーション的、非同期的、リッチメディア的にすることができるでしょうか。これを行うにあたって、どんなメディアやテクノロジーが役立つでしょうか。
  2. このような方法であなたの教え方を変える際の (a) 長所 および (b) 短所 と思うものをそれぞれ書き出してみましょう。
  3. 4つの次元(放送的・コミュニケーション的・同期・非同期)による分析は、新しいテクノロジーを使うかどうか決める際に役に立つでしょうか。もしそうでないなら、それはなぜでしょうか。

次の章ではあなたの答えに対して、より多くのフィードバックが提供されるでしょう。

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デジタル時代の教育 by Anthony William (Tony) Bates is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial 4.0 International License, except where otherwise noted.

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