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Figure 8.5.1 People do not necessarily learn better ... when the speaker's image is added to the screen (Meyer, 2009).
図8.5.1: 話し手の画像が画面に追加されたとしても、人々は必ずしもよく学習するとは限らない。(Mayer, 2009)

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8.5.1 マルチメディア授業における設計の重要性

第7章では、メディア間の様々な教育上の違いについて論じました。デジタル時代の教員にとって、メディアの適切な利用法を特定することは、ますます重要な要件となっていますし、また非常に複雑な難題でもあります。これはインストラクションナル・デザイナーやメディア専門家と可能な限り密に連携すべきである理由の一つになります。そしてインストラクショナル・デザインの専門家と協力する教員は教育的および運営上の理由に基づいて、どのメディアを利用するつもりか決定する必要があるでしょう。それが第7章の目的でした。

ひとたびメディアを選択したら、次に設計上の問題に焦点を当てることで、メディアをさらに適切に利用するためのさらなる指針を示すことができます。特に第7章では様々なメディアで可能な教育の役割や機能を特定するプロセスを示しましたが、このプロセスを経た上で Mayer (2009) と Koumi (2006, 2015) を参照すると、いかなるメディアの選択や組み合わせが決定されても、設計によって効果的な指導につながることが確認できます。

Mayer の研究は、リッチなマルチメディアを利用した教育における認知過負荷に重点を置くものでした。長年にわたる彼自身の研究により、学習者がマルチメディアをどのように認知的に処理するかに基づいて、マルチメディア設計の12の原則が明らかになりました。

8.5.2.1 一貫性

無関係な単語や写真、音声が含まれている場合よりも、除外されている方が、学習効率は高くなります。基本的には、メディアに関しては単純にしてください。

8.5.2.2 重要な手がかりを与える

教材の構成を強調する重要な手がかりが与えられた方が、学習効率は高くなります。これは Bates & Gallagher (1977) による初期の知見を再現するものです。学生はマルチメディア教材の中で、何を探すべきか知る必要があります。

8.5.2.3 冗長性 [を避ける]

グラフィックスとナレーションの他に画面上で説明文を与えられた時よりも、グラフィックスとナレーションだけの方が、学習効率は高くなります。

8.5.2.4 空間的隣接性

対応する単語や写真はページや画面上で離れて置かれているよりも、隣接して表示されている方が、学習効率は高くなります。

8.5.2.5 時間的連続性

対応する単語と絵は連続してではなく同時に提示される方が、学習効率は高くなります。

8.5.2.6 細かく分割する

マルチメディアの授業は、ひと続きのレッスンとしてではなく、ユーザーの進み具合で細かく分割できるよう設計されている方が、学習効率は高くなります。つまりYouTube程度の長さの動画が複数ある方が、50分の動画よりもうまくいくでしょう。

8.5.2.7 事前学習

マルチメディアの授業では、主な概念の名前と特徴を知っている方が、学習効率は高くなります。例えばこれは反転教室の設計の特徴を連想させるものです。講義か読み物を使って重要な概念や原理の概要を提示してから、原理の詳細について、事例や応用を動画で見せる方が良いかもしれません。

8.5.2.8 感覚的な形式

アニメーションと画面上の説明文よりも、グラフィックスとナレーションの方が、学習効率は高くなります。学習者は聴覚と視覚を組み合わせながら、特定の方法でお互いを強化できることの重要性を表しています。

8.5.2.9 マルチメディア

言葉だけよりも写真があった方が、学習効率は高くなります。これは私が1995年に書いたことを補強することでもあります。「4つのメディア全てを教員と学習者が利用できるようにすること。」(Bates, 1995, p.13)

8.5.2.10 個人に対応

マルチメディアの授業では、改まったスタイルよりも会話的なスタイルの言葉の方が、学習効率は高くなります。ここではMayerよりもさらに先に進めましょう。文字と音声の組み合わせに関する Durbridge の研究 (1983, 1984) が示しているように、マルチメディアを使うと学習者(特に遠隔学習者)が教員とつながりをもつことができます。指導に「人間の声と顔」を加えることで学習者のやる気を引き出すことができますし、さらに会話形式が採用されているなら、マルチメディアの授業が個々の学習者に向けられているような感じを与えることができます。

8.5.2.11 声

マルチメディア授業のナレーションが機械音声ではなく、親しみやすい人間の声で話されている方が、学習効率は高くなります。

8.5.2.12 画像 [を使わない]

マルチメディア授業で話し手の画像が画面に加わっても、学習効率は必ずしも高くなるわけではありません。

Mayer の研究を読み直してみると、1970年代および1980年代のブリティッシュ・オープン大学での視聴覚メディア研究グループによる研究と、調査結果が驚くほど類似しています。研究方法、マルチメディアのテクノロジー、文脈が異なるにも関わらずです。 (Bates, 1985年)

最近では、ブリティッシュ・コロンビア大学の優れた研究により、Mayer の設計原理がどのように運用可能にできるかが示されました。ブリティッシュ・コロンビア大学のスタッフは、Mayer の知見と、数学に関する一連の巧みな動画での説明を完成させた Robert Talbert の知見を組み合わせることで、マルチメディア制作のための実用的な設計基準にまとめました。

Talbert の設計の原理のキーポイントは次の通りです。

• 簡単なものに:一度につき1つの考えに集中しましょう。

• 短いものに:集中力を最大化するために。動画の長さは最大5〜6分にしましょう。

• 本物に:学習がうまくいった人たちの意思決定プロセスおよび問題解決プロセスをモデル化しましょう。

• 良いものに:ビデオの計画については意図的にしてください。可能な限り最高のビデオおよびオーディオ品質を実現するよう努めましょう。

8.5.3 メディア選択における弱い弁別基準としての教育

ほとんどの教員は、あるメディアが教育や学習に有効であるかどうかを最初の基準とするでしょう。テクノロジーが教育的に有効でないなら、そもそも使う必要はありませんから。しかし学生がテクノロジーを利用できないなら、そのテクノロジーがどのように設計されていても、何も学びは発生しません。さらに言えば、やる気のある教員であれば特定のテクノロジーの弱点を克服できるでしょうが、他方、メディアの扱いに慣れていない教員は往々にしてテクノロジーの可能性を活かしきれないことがあります。

したがって、設計上の決定は、特定のテクノロジーの有効性を左右します。うまく設計された講義は、設計がまずいオンライン・コースよりも学びやすいでしょう。逆もまた然りです。同様に、好みの学習スタイルや動機づけの違いから、学生は異なるテクノロジーに対して異なる反応をするでしょう。勤勉な学生は学習用テクノロジーのまずい使い方を克服することができます。つまり当然のことながら、様々な要因を伴う教育と学習を、テクノロジーの選択と利用のための弁別に使うことが困難であるという考えは驚くべきことではありません。メディア選択においては、アクセスと使いやすさが、教育的効果よりも強い弁別要因になります。

8.5.4 考慮すべき問題点

教育的な文脈だけを考えたとしても、設計は重要ですが、マルチメディア教材の設計だけに焦点を当てるだけでは不十分です。メディアの選択と利用は、学習者間の個人差や、コンテンツの複雑さ、期待される学習成果など、Mayer が「境界条件」と呼んでいる他の要因と関連づける必要があります。ですから、厳密に教育の観点からメディアを検討するときも、以下の問題点について考慮する必要があります。

  1. あなたが教えるのはどのような学生ですか。
  2. どんなコンテンツを扱う必要がありますか。
  3. スキル養成の観点から、この指導で望まれる学習成果は何ですか。
  4. どのような指導ストラテジーや学習法を利用するつもりですか。
  5. 様々なメディアのもつ独自の教育的な特徴は何ですか。異なるメディアは、このコースのコンテンツの提示や学生のスキル向上にどのように役立つでしょうか。
  6. このコースで扱うコンテンツを提示する最善の方法は何ですか。メディアはコンテンツ提示にどのように役立つでしょうか。どのコンテンツをどのメディアで提示すべきですか。
  7. このコースではどんなスキルを養成しようとしていますか。このコースに必要なスキルを学生が身に付けるのに、メディアはどのように役立つ可能性がありますか。どのメディアがどのスキルに適していますか。
  8. マルチメディア教材を最も効果的に利用できるようにするためには、教材設計の際にどの原則を利用する必要があるでしょうか。

これらの問題点の検討は、順次的に起こるというよりむしろ反復的なプロセスになるでしょう。あなたが検討したい方法や、決断を下す方法によっては、それぞれの問題点に対する答えを書き留めておくと役立つかもしれません。ただ、おそらくもっと重要なのは、これらの質問について考えるプロセスを経ておくことでしょう。まずはこれら全ての要因、またその他の要因を検討した上で、より直観的な根拠にもとづいて選択する余地ができるのです。

アクティビティー 8.5 マルチメディア設計の原則

Mayer の設計についての原則は、教室での授業にどの程度うまく当てはまると思いますか。

どの原則が教室の状況でも機能するでしょうか。機能しないと思われるのはどれでしょうか。

Mayer の原則は、どのような条件の下でなら実際の教室で機能するでしょうか。

参考文献

Bates, A. (1985) Broadcasting in Education: An Evaluation London: Constables

Bates, A. (1995) Teaching, Open Learning and Distance Education London/New York: Routledge

Bates, A. and Gallagher, M. (1977) Improving the Effectiveness of Open University Television Case-Studies and Documentaries Milton Keynes: The Open University (I.E.T. Papers on Broadcasting, No. 77)

Durbridge, N. (1983) Design implications of audio and video cassettes Milton Keynes: Open University Institute of Educational Technology

Durbridge, N. (1984) Audio cassettes, in: Bates, A. (ed.) The Role of Technology in Distance Education London: Routledge (re-published in 2014)

Koumi, J. (2006). Designing video and multimedia for open and flexible learning. London: Routledge

Koumi, J. (2015) Learning outcomes afforded by self-assessed, segmented video-print combinations Academia.edu (unpublished)

Mayer, R. E. (2009). Multimedia learning (2nd ed). New York: Cambridge University Press

UBC Wikis (2014) Documentation: Design Principles for Multimedia Vancouver BC: University of British Columbia

 

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